【書評】フォルトゥナの瞳/運命の女神は果たして存在するのか!?その正体は如何に?

書評

久々に恋愛小説が読みたくなって、「フォルトゥナの瞳」(百田尚樹・著/新潮文庫)を読みました。

この小説、映画化もされましたが、映画は見てません。最近は、映像を見る前に原作を先に読むようにしてます。

なぜなら、40歳過ぎて少し感性の衰えを感じてきたから。文字を読みながら自分の頭でシーンを映像化することで想像力を鍛えてます

果たして運命は予知できるのか?

自動車塗装工として真面目に働いていた一人の青年が、ある日突然「他人の死の運命」を見る力を手に入れます。

その力とは、死ぬ運命にある人の体の一部が「透明」に見えるのです。

他人の運命に向き合って生きていく青年に感情移入しながら、人の「運命」について深く考えさせられました。

「運命」を辞書で引くと、こう書いてあります。

・人の意思を超えてやってくる幸福や不幸

・将来の成り行き、今後どうなるか

ちなみにタイトルの「フォルトゥナ」はローマ神話に出てくる運命の女神。人々の運命を決める神と言われています。

時々、将来の事がわかったらいいなと思うこともありませんか?

就職活動なら、落ちるとわかってる会社は採用試験を受けない。

スポーツなら、怪我するってわかってたら最初からやらない。

恋愛なら、フラれるってわかってたら告白しない。

でも現実は・・・ドラえもんでも連れてこない限り将来の事なんか誰にもわからない。

結局、今より先の世界って人知を超えて神のみぞ知る領域なんです。

運命の女神の正体は一体?

では、何が「運命」を決めるのか?

それは現在の「選択」です。

人間は一日に9000回「選択」をしていると言います。

今の自分を作っているのも、自分が過去にした「選択」の結果です。

私が今の会社に入ったのは大学3年の時に学んだゼミの影響が大きい。あのゼミに入るという「選択」をしていなければ、今は違った人生になっていたでしょう。しかも、ゼミに入ったきっかけは偶然知り合った同級生に薦められて軽い気持ちで「選択」したものです。

他人の「選択」に因って、自分の「運命」が決まる事もあります。

人事担当者が私の採用を「選択」しなければ、私は別の人生を歩んでいたはずです。

それだけ「選択」というのは「運命」を決める決定的なものです。個々の人間の「選択」の集合体が、今の社会を形作っているとも言えます。

とすると、私が取るべき行動はただ一つ

今の自分にとって最善の「選択」をすること

その結果どう転ぶかは運命に任せるしかない。

将来の事で深く悩まず、今の自分の決断に自信を持つこと

人の「運命」を決めると言われた「フォルトゥナ」の女神の正体は「自分」だったんですね。

とても読みやすい幻想的なラブストーリーのなかに、「運命」という壮大なテーマが潜んでいて面白い小説だと思いました。

すっかり忘れてしまった若かりし頃の恋愛の興奮を味わいたい中年サラリーマンの皆さん、是非読んでみてください。