【書評&要約】嫌われる勇気/今さら聞けないアドラー心理学

書評

平成25年に発売された自己啓発書「嫌われる勇気」。報道によれば、令和元年11月の増刷で国内累計発行部数が200万部。

勇気の2部作である「幸せになる勇気」とあわせると合計発行部数は259万部を突破するそうです。

ご存知のとおり「嫌われる勇気」は、心理学の三大巨頭の一人、アルフレッド・アドラーの思想をわかりやすく学べる本です。

僕がこの本を読んだのは平成27年。そこで初めてアドラー心理学に触れました。それから4年間で色んな本を読みましたが、アドラーの思想が如何に人生の本質をついたものであったか、という事が今やっとわかってきました。おそらく多くの人が「その通りだ」と頷ける思想だからこそ、これだけの人に読まれているのだと思います。

アドラー心理学は、「心理学」とありますが、「科学的」なものではなく、人間の知恵の本質を探究していく「哲学的」なアプローチをする心理学です。

最近では、僕の人生哲学として君臨するようになったアドラー心理学を、シンプルに3つのポイントで要約してみます。

世界はとてもシンプルである!

世界は「自分」と「他者」で成り立っています。人間は「他者」から切り離されて生きることなど、原理的にできません。

人は、「孤独」を感じるときでさえ「他者」を必要とします。なぜなら、「孤独」というのは「他者」からの疎外感によって生まれる感情だからです。

だからこそ、アドラー心理学は、「全ての悩みは対人関係の悩みに帰結する」と言います。これは、アドラー心理学の根底に流れる概念です。

そして、「対人関係の悩み」を一気に解消する方法として重要な視点が「課題の分離」です。

課題とは、選択→決断→行動、と置き換えても良いでしょう。

「自分」の課題と「他者」の課題を分離する。「他者」の課題には介入せず、「自分」の課題には誰一人として介入させない。

子供が「勉強しない」、上司が「怒鳴り散らす」などは、「他者」の課題であって、「自分」に責任を負えるものではない。こんなものは躊躇なく切り捨てることです。

「自分」と「他者」における、「課題の分離」を意識することで、世界は極めてシンプルになります

自分次第で人は変われる!

「他者」がどうであるかは意識しなくていい。全ては「自分」がどうであるかです。

ある事象に対して「自分」がどのように解釈するか、つまり全ては主観で決まります。

人は劣等感を抱くことがあります。「背が低い」など身体的特徴や、「学歴がない」など仕事で感じる劣等感。「背が低いからモテないんだ」「学歴がないから出世しないんだ」とか思ったりもします。

しかし、アドラー心理学は、こうした因果律を明確に否定しています。「Aという原因(事象や事実)があるから、Bという結果になる」のではありません。

「Aという事実に、どのような意味付けを与えるかで、Bという結果が変わる」ということです。

「背が低い」「学歴がない」ということも、見方を変えれば、「人をくつろがせることができる」「他人を威圧しない」とプラスに解釈することもできます。

全ては自分次第。「自分」が前向きに解釈(認知、意味付け)する勇気さえあれば、いまからでも人は変わることができます

誰もが幸福になれる!

事象に対する前向きな解釈によって、「自分」の感情、思考、行動は変わるでしょう。

そして、アドラー心理学は、行動の指針として「他者」への貢献感を実感することが大切だとしています。

「他者貢献」とは、「他者」の役に立っていると思うこと。最もわかりやすい「他者貢献」は「仕事」でしょう。

「他者貢献」は、「他者」からの承認は必要ありません。「自分」が主観的に「貢献している」と思えれば良い。自己満足でも何ら問題ありません。Give &Take ではなく、Give &Give の精神です。

「他者貢献」の前提として、ありのままの自分を受け入れる「自己受容」、他者を仲間として無条件に信頼する「他者信頼」があります。

「自己受容」「他者信頼」「他者貢献」の感覚を得れば、「自分は共同体のなかで有益な存在である」と思えるようになります。

「ここにいてもいいんだ」という所属感(共同体感覚)は、まさに対人関係のゴールです。

共同体感覚を実感し、「自分」から「他者」に貢献していくことで、どんな人でも幸せになることができます

最後に・・・

ここまで書いてきて思ったのは、「自分」と「他者」という単語を如何に多く使ったことか。

「自分」と「他者」の関係のなかで、「全ては自分次第だ」ということを、アドラー心理学から強く学びました。

「自分」が生きている世界は「今」です。人生は「点」であり、いまここにしか生きられません。未来の人生設計やキャリア設計など不可能であり、いまここに強烈なスポットライトを当てて過ごすべきです。

アドラー心理学を本当に理解して、生き方まで変わるようになる為には、それまで生きてきた年数の半分が必要になると言われています。

ということは、僕はいま42歳なので、この哲学がしっかり実践できるようになるのが63歳・・・

その年齢になった時、「気付いたらアドラーの思想が身に付いていた」と言えるようてあればいいな、と思いました。

シンプルに纏めると最初に言っておきながら、長々と書いてしまいました。

お読みいただきありがとうございました。